休み明け緒戦。
超大型馬のエメヴィベールはおそらく次戦以降だろう。
これが、戦前の評価の大半だった。
マイナス6㎏。
これがエメヴィベールの復帰戦だった。
3戦目にして一番搾れたのが休み明けの今回となった。
体も絞れ、気合も乗っているエメヴィベール。
頼もしい限りだ。
エメヴィベールの場合、問題なのはスタートから道中。
いき脚がまったくつかず、いいスタートを切ってもあっという間に最後方になってしまうのだ。
いわゆる遅い、脚がないわけではない。大型馬ゆえに、テンが早くないのだ。
飛行機で言えば軽量でスピードを求める戦闘機に対して、航続距離や安定性を求める重爆撃の違いとでも言えばわかりやすいだろうか。
ゼロ戦なら、空母から発艦することもできようが、B29は、離陸までの滑走距離をたくさん必要とする。
この違いだ。
エメヴィベールはスピードに乗ってしまえば衰えることなく伸びていく感じの脚を使えるが、その足を使うまで、スピードに乗るまでに時間がかかってしまうタイプだ。
だから、距離はあってもいいのだろう。
今回はその道中がすこし前2戦とは違った。
前2走は、2走とも、スタートは悪くなく中団あたりに位置付けるがそこからの行き脚がつかないのであっという間に後方~最後方へ位置付ける。
そして、コーナーに差し掛かり最終コーナーあたりで勢いがつき、長くいい脚を使う
そんな感じの2戦だったが今回は、同じように行き脚はつかないが、最後方まで行かない、中団勢の後方といったあたりで落ち着いた。
そして、コーナーに差し掛かるあたりから騎手が促していく。少し前よりも早めの仕掛けだ。最終コーナーあたりではもうムチを入れて気合を入れ直す。
直線。直線向いたときにはその時点の先頭馬とは5馬身以上の差があった。
さすがに届かないかと思ったが、ここは重爆撃機エメヴィベール。
付いた勢いはそう簡単に衰えないのだ。
先頭の馬を差したときには、もうほかの馬と勢いが違う。
最後の100mで、1馬身ちぎってゴール。
鞍上の坂井騎手も、乗り方が分かったようだ。